EWD/AERは、リプロセス工程終了時に内視鏡を乾燥させますか?
質問:
EWD/AERはリプロセス工程終了時に内視鏡を乾燥させますか?
回答:
これは、ご施設で使用されている装置や、ご利用の地域で利用可能な内視鏡洗浄消毒装置(EWD)/自動内視鏡再処理装置(AER)によって異なります。
米国では、自動内視鏡再処理装置(AER)は通常、リプロセス工程の終了時に内視鏡の乾燥を行う設計にはなっておりません。つまり、AERリプロセス工程の終了時に、内視鏡にはまだ目に見える水滴が残存していることになります。一般的な米国仕様のAERのリプロセス工程は通常、1)最終すすぎ、2)アルコールフラッシュ、3)エアパージ、という3つのステップで完了します。エアパージとは、内視鏡全体に短時間空気を送ることで、内視鏡チャンネル内の多量の残留液を排出させる工程です。これは乾燥とは異なります。乾燥とは通常10分以上の長時間のプロセスであり、内視鏡の外表面およびチャンネル内から水分を完全に除去することを目的としています。文献の中には、内視鏡の水分除去におけるエアパージと乾燥の役割が混同され、AERから取り出した内視鏡は乾燥しているはずであるという誤った主張をしているものもあります。[1 - 3] 米国では、ユーザーは、AERでリプロセスされた内視鏡はリプロセス工程終了時にはまだ目に見える水滴があることを想定し、AER外で乾燥処理を実施すべきです。
欧州および米国以外の地域では、ISO 1588-4に準拠し、EWDには標準的な「短時間」乾燥プログラム(チャンネル内の残留液の大部分を除去するエアパージ)が組み込まれており、中にはリプロセス工程終了時に内視鏡を乾燥状態にする事が検証済みである「長時間」乾燥プログラムを搭載する機器もあります。[4]内視鏡の全チャンネルおよび外表面の水分を完全に除去できるのは「長時間」乾燥プログラムのみです。「長時間」乾燥プログラムは完了までに時間を要するため、一般的には終業時にのみ実施されます。多くの場合、日常業務ではエアパージであるEWD標準の「短時間」プログラムが使用されます。これはリプロセスされた内視鏡がすぐに臨床で使用されるか、またはEN 16442に準拠した専用の乾燥/保管キャビネットで保管されるためです。[5]乾燥/保管キャビネットでは、限られた時間内に内視鏡を完全に乾燥できるわけではないため、標準の「短時間」乾燥プログラムであるエアパージを行う事は重要です。
つまり、 エアパージと乾燥は同義ではなく、得られる結果も異なります。ご施設で使用されているEWD/AERをご確認いただき、エアパージのみを備えており、内視鏡に目視確認できる水滴が残存するため別途乾燥が必要となるのか、あるいは、検証済みの乾燥プログラムを備えており、リプロセス工程終了時に乾燥済みの内視鏡が提供されるかを、正確に把握しておく必要があります。
出典と参考文献
Ofstead CL, Hopkins KM, Preston AL, et al. Fluid retention in endoscopes: A real-world study on drying effectiveness. Am J Infect Control. 2024;52(6):635-643. doi:10.1016/j.ajic.2024.02.015. 2025年7月にアクセス。
Yassin M, Clifford A, Dixon H, Donskey CJ. How effective are the alcohol flush and drying cycles of automated endoscope reprocessors? Stripped endoscope model. Am J Infect Control. 2023;51(5):527-532. doi:10.1016/j.ajic.2023.02.008. 2025年7月にアクセス。
Yassin M, Dixon H, Nerandzic M, Donskey C. How effective is alcohol flush and drying cycle of automatic endoscope reprocessor (AER): Stripped Endoscope (SE) model. Open Forum Infectious Diseases. 2020;7(1):S452. 2025年7月にアクセス。
International Organization for Standardization. Washer-disinfectors—Part 4: Requirements and tests for washer-disinfectors employing chemical disinfection for thermolabile endoscopes. ISO Standard No. 15883-4:2018. Published November 2018. 2025年7月にアクセス。
European Committee for Standardization. Controlled environment storage cabinet for processed thermolabile endoscopes. EN Standard No. 16442:2015. Published March 2015. 2025年7月にアクセス。